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・I will be music
 バンド、凛として時雨の魅力のひとつは、どこまでが音楽でどこからが音楽でないのかということを問うている点だと前田は思っていたら、次のツアーの名前が「I was music」で、おお、と思ったので行ってきます。


・読書
「カンバセイション・ピース/保坂和志」読了。買ったのはかなり前のこと。読もうと思って挫折して、一年以上積んでいたかもしれない。実に、密度の高い小説だった。今作は今まで前田の読んできた小説とは全然感触が違うのだけど、小説なのだ、きっと。
 読んでいる最中に考えるべきことがとても沢山あって、前田が挫折したのは前田の力不足だったのだろう。保坂和志は小説論を何冊か出しているけど、今作で書かれている思考(これは小説を通した描かれているという意味ではなくて、そのまま書かれていること)は、そのまま小説論の中に登場してもあまり違和感がないように思う。世界と私の関わりは保坂の小説論で重要なキーワードだ。それでもこの思考が小説論ではなく小説であるというのは、「場」が用意されている、もしくは「場」を作るためのものだからなのではないかと思った。きっと以前の前田ならば思考の展開だけを見て「世界に対する感触とか思考だけで小説を書いてもいいのか!」と勘違いしていただろう。
 場=fieldというのは、そのまんま作中に登場する家であったり、家に住んでいる人/住んでいた人であったり、庭だったりする。それら場に対するアプローチとして多用されるのが主人公の記憶なのだが、その意味で主人公の記憶も場の一部なのかもしれない。記憶となると当然絡んでくる概念として時間があって、今作で描かれている時間の印象は「その街の今は/柴崎友香」と似ていた。つまり時間が「薄い」のだ。もちろん批判的な意味合いは全くない。裏表紙に「過去と現在がつながり」とあったが、これに近い意味で薄い。前田の持った印象は「過去も現在も今だ」というような、これだけ見たら「何言ってんだおめえ」となってしまう印象だが、実際に今作を読めば「過去も現在も今だ」という感想はレトリックでも何でもなく、「そのまんまじゃないか」と分かる。そして時間だけでなく、人物という座標についても今作では統合される部分がある。
 思考と場の関係なのだが、これは前田には構成に関わっているように見えた。作中では長々と主人公の思考する世界のことについて語られたと思ったら、いつの間にやら庭に出て自然の描写をひたすら続けていたりする。この手の構成は「思考で開陳したことをこの自然の描写で実践したらどうなる?」という提示のように、前田には思えたのだが、それ以上に「思考→自然」という構成そのものが面白いように思えた(実際には思考→自然→思考→自然→……なんて単純な形はしていない)。どういうことかといえば、音楽である。今作にはストーリーがない。その分、音楽の「Aメロ→Bメロ→サビ→……」という構成のようになっているのではないか?(Aメロとか何とかはテキトーに書いている)ストーリーがあると構成の各部はもっと意味に還元できるのではないか? そんなことを思った。哲学のように言葉を使いまくっている作品ではあるが、この点で、音楽的なのだ、きっと。
 思考の内容だけを取り出しても考えるべき点が非常に多そうだ(多そうというのは、つまり前田が全部について考えられる頭を持っていないということ)。特に最近前田の感じている「言葉とはフィクションである」という思考の更に先があるようで、なんと言うか、嬉しくなる。「闇色ドロップス/施川ユウキ」の面白さは「言葉とはフィクションである」ということに由来している前田は感じているのだが、例えば今作に登場する「ナオネエの影」は更にその先を促している。幽霊というのは或る側面(言葉)では「亡くなった人の魂がこの世に戻ってきたもの」で、或る側面では「恐怖が生み出す錯覚」で、しかしいずれにしても同じものだ、という考えだけでは足りないのではないか? キーワードは「人間が知っていることは世界の0.000000000……1%に過ぎない」。

 ちなみに、Conversation pieceの日本語訳は「話題のタネ、格好の話題」または「集団肖像画、風俗画」である。
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無題
全然ついていけないけど、前田さんは成長していってる。
悔しい。ついていけないのが悔しい。
何もできないのが悔しい。
前田さんがうらやましい。
もっといっぱい考えたいし、考えなくてはならないのに、やわらかな切れ味のいい刃物をつきつけられて笑顔で尋問されている気になる。
前田はすごいなぁ、この言葉で締めくくろうと思う。他にでてこないからだ。
mui 2009/11/24(Tue)23:59:58 編集
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