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・読書
「坊ちゃん/夏目漱石」読了。青空文庫のやつをiPhoneのSkyBookにて。レスポンスの遅さが難点ではあるけど、大辞林を導入しているので便利なこともある。レスポンスは遅いけど。
 今作は中学生の頃に読んだのだが、内容はすっかり忘れてしまっていた。有名すぎる「親譲りの無鉄砲で子供の時から損ばかりしている」の文章とか、その後の無鉄砲のエピソードくらいは覚えていたが。

 そして、なんだこの面白さは……。
「吾輩は猫である」の文章はもっと読みにくかったのだが、今作はそういう印象がない。むしろ読みやすい。
 平常は、光景・風景の描写をあんまり行わないような、あっさりとした文章。稀に風景描写が入り込むが、これがホントに唸らされる、見事な文章だったりする。しかも短く、簡潔だ。
 能ある鷹は爪を隠すではないが、平常の文章に、レベルの高さが明らかな文章を放り込まれると、漱石の筆力の高さに感服してしまう。

 気になったのは人物の描き方だ。山嵐、赤シャツ、野だなど、登場してアダ名がついた時点で、早くも存在感があるように思えた。ストーリーとも違わない第一印象であって「展開が分かるからこそ面白い」というストーリー観を再確認させられた。

 最後の一文といい、物語というのはエピソードの連なりから成っているものなのだということを再認識させてくれる作品。
 小説のお手本というならば、まさに素晴らしいお手本だと思った。言葉の賞味期限も感じなかったし。

 あと、騒動の結末から「外からの視点」について考えるきっかけが得られるように思う。保坂和志が言っている、例えばカフカの作品に見られるような「外からの視点のなさ」についてだ。

リンク>青空文庫「坊ちゃん/夏目漱石」
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