・トリビア
「耳をすませば」を観て鬱になる人が「一瞬の風になれ/佐藤多佳子」を読むと自殺する確率はどれくらいなんでしょう。これって、トリビアになりませんか?
・読書
「一瞬の風になれ/佐藤多佳子」読了。一人称的タイトル?じゃなくて三人称的か?
ものすげえ青春小説だった。同じくマイナスポーツ題材の青春小説の「DIVE!!/森 絵都」と並ぶ作品として前田は認知していたのだが、かなり違った。「DIVE!!」はストーリィがあって、ストーリィを読んでいく小説。良くも悪くも「劇」だった。対して「一瞬の~」は読者がひたすら主人公の中に入っていくような小説で、要は感情移入で読ませる感じだった。小説を読んでいるというより、小説を体験しているといった方が近い。前田は主人公の惚れている相手にうっかり惚れそうになった。原因はたぶん、その相手の描写が良いからではなく、主人公がその相手に惚れているからだろう。
この小説にあるのはストーリィではなく主人公の目標だ。陳腐な言い方かもしれないが、人生の一部を切り取って小説にした、というような。問題の解決とか決着とか、そういう劇作論とは切り離されているようだった。
読んでいる間が最も面白い小説で、読み終わったのが残念だった。終わりの文章が好きじゃないというのもあるかもしれないが。
そして今作を読んでやっぱり思ってしまうのは「小説で描かれるのは人間」であるということ。恐らくエンタテイメント系の小説で人間が描かれなかったことは一度もない。純文学系を含めても極端に数が少ないだろう。小説を読む人間は人間に興味があるらしい。
「耳をすませば」を観て鬱になる人が「一瞬の風になれ/佐藤多佳子」を読むと自殺する確率はどれくらいなんでしょう。これって、トリビアになりませんか?
・読書
「一瞬の風になれ/佐藤多佳子」読了。一人称的タイトル?じゃなくて三人称的か?
ものすげえ青春小説だった。同じくマイナスポーツ題材の青春小説の「DIVE!!/森 絵都」と並ぶ作品として前田は認知していたのだが、かなり違った。「DIVE!!」はストーリィがあって、ストーリィを読んでいく小説。良くも悪くも「劇」だった。対して「一瞬の~」は読者がひたすら主人公の中に入っていくような小説で、要は感情移入で読ませる感じだった。小説を読んでいるというより、小説を体験しているといった方が近い。前田は主人公の惚れている相手にうっかり惚れそうになった。原因はたぶん、その相手の描写が良いからではなく、主人公がその相手に惚れているからだろう。
この小説にあるのはストーリィではなく主人公の目標だ。陳腐な言い方かもしれないが、人生の一部を切り取って小説にした、というような。問題の解決とか決着とか、そういう劇作論とは切り離されているようだった。
読んでいる間が最も面白い小説で、読み終わったのが残念だった。終わりの文章が好きじゃないというのもあるかもしれないが。
そして今作を読んでやっぱり思ってしまうのは「小説で描かれるのは人間」であるということ。恐らくエンタテイメント系の小説で人間が描かれなかったことは一度もない。純文学系を含めても極端に数が少ないだろう。小説を読む人間は人間に興味があるらしい。
PR