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・もしも世界が5人の僕だったら
 もしも世界が5人の僕だったら、1人は群集に、1人は歴史に、1人は心理に、1人は人体に、1人は文学に興味を持つだろう。
 文学に興味を持った1人は、世界に「僕」しかいないことに気づくだろう。
「僕」しかいないことに気づいた1人は、絶望に気づくだろう。
 そして初めの1人が首を括った。
 1人が首を括ったことに気づき、心理に興味を持った1人は考察を始めるだろう。
 1つの死体があることに気づき、人体に興味を持った1人は研究を始めるだろう。
 死体に反応する2人に気づき、群集に興味を持った1人は観察を始めるだろう。
 次々と動き出した3人に気づき、歴史に興味を持った1人は記録を始めるだろう。
 やがて考察が終わり、心理に興味を持った1人は考えることがなくなるだろう。
 やがて死体は風化し、人体に興味を持った1人の研究の材料はなくなるだろう。
 やがて2人は何もしなくなり、群集に興味を持った1人は何もしなくなるだろう。
 やがて3人に変化がなくなり、歴史に興味を持った1人は記録しなくなるだろう。
 そしてみな、興味の対象を失って、文学に眼を向け始めた。


・発想の出発点
「100人の森博嗣/森 博嗣」の前書きで「世界がもし100人の森博嗣だったら……」という文章があったことを思い出して、書いてみた。
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